群山を旅行する人は、よく日本風のペンション、有名なカフェ、近代文化遺産を中心
にスケジュールを立てます。
そして、「イソンダン」という老舗のパン屋さんや、チャンポンで有名な中華料理店、
映画『8月のクリスマス』のロケ地になった「草原写真館」などを訪れるコースが定番です。
もちろん、これらの場所も群山旅行には欠かせないスポットです。
でも、少し違った群山も感じてみてほしいと思います。
よく知られた観光地の裏にある、群山の深い味を通して、この町をもう一度見つめ直す旅も、
きっと価値があります。
群山を本当に感じる一番美味しい方法——それは「昔からこの土地で食べられてきた料理」
をたどる一日を計画することです。
ここで紹介するお店は代表的なお店なので、周辺の他のお店もいろいろ立ち寄って、
自分の目と舌で確かめてみてください。
筆者の考えでは、群山に来てこの料理を食べずに帰るなら、それは群山に来たとは言えません。
臭みがなく、外はカリッと中はしっとりと焼き上げられたパクテ焼きをぜひ食べてみてください。
群山はパクテ(干しイシモチ)の主な産地で、よく乾かしたパクテにタレをつけて焼くと、
しょっぱさと香ばしさが絶妙で、とても美味しいと評判です。
ただの焼き魚ではなく、群山の風と海、そして漁師たちの暮らしが詰まった料理と言えるでしょう。
12,000ウォンという価格ながら、種類豊富なおかずと大きなパクテが2尾も付いてくるので、
ご飯1杯では足りず、ついもう1杯おかわりしてしまいます。
ヨス食堂(여수식당)
住所:群山市グヨン6キル127
Googleマップで「群山市グヨン6キル127」を検索してください。
群山市グヨン6キル127、ヨンファ洞にある「ヨス食堂」は、近代歴史博物館のすぐ向かい、
大通りを渡ればすぐの場所にあり、初めての旅行者でも気軽に見つけられます。
博物館を見学した前後に立ち寄るにはちょうど良く、軽く一食を済ませるのにぴったりです。
このお店のパクテ焼き定食では
味噌汁が出てくると思いきや、意外にもピリ辛のキムチスープが登場し、
あっさりした魚の味をさっぱりと締めくれます。
おかずとして出されたタチウオの煮付けも印象的で、「ほかの魚料理も食べてみたいな」
と思わせてくれる内容でした。
昼食時間をとっくに過ぎても地元の人たちが途切れることなく訪れていて、
「この店は本物だ」と信頼がわいてきました。
パクテは西海(ソヘ)の中南部沿岸、特に群山(クンサン)やソチョンなどでよく獲れ
る沿岸の魚で、体が小さく骨が多く、見た目も独特なため、高級魚として扱われることは
ありませんでした。
また、保存性があまり高くないため地元での消費が中心で、流通が難しかったことから
価格も安かったのです。
パクテ焼きの骨を上手に取る方法は、まず背中の中心にある中骨をそっと持ち上げると、
一方の身がきれいに分かれます。
次に、頭や尾のほうにある細かい骨は、箸で身を薄くはがすようにして、箸先でトン
トンと軽く叩きながら骨を取り除くと良いです。
お腹の部分には細かい骨がいろいろな方向に広がっているので、小さく切って一口ずつ
確認しながら食べるのがおすすめです。
実は、パクテは骨が硬くも鋭くもないので、手で持って食べやすい魚でもあります。
また、パクテは日本統治時代、相対的に貧しさを感じさせる庶民の魚として見なされてい
たこともありました。
当時、日本人たちはウグイ(クロソイ)やヒラメ、タイのような大型の魚を好んでいた一方で、
パクテは値段が安く量が多かったため、市場では焼き魚や煮魚用として多く売られていたそうです。
冷蔵技術が十分でなかったその時代には、干して保存した「干しパクテ」が塩や味噌、
塩辛などと一緒に庶民の食卓に頻繁に並ぶ定番の魚でした。
そんな素朴だった魚が、今では群山など限られた地域でしか本格的に味わえない貴重な食材となり、
いまや群山の誇りとして愛されています。
広大な湖南平野を抱える群山は、昔から農業が発達した町でした。
その田畑で育ったアウッ(アマナ/青菜の一種)は、長い間、庶民の温かな食卓によく
登場してきた野菜です。
味噌、エゴマ、そして海産物の出汁が合わさったスープは、素朴ながらも深みがあり、
まるで群山の人々のように淡白で粘り強い味わいを感じさせてくれます。
少し話がそれますが、かつて「逆転の名手」と呼ばれた群山商業高校の野球チームの強さも、
この土地の粘り強さとどこか通じているのでは…と思えてきます。
イルチュルオクのアウッ(アマナ)スープは、青臭さがなく香ばしくてさっぱりとし
た味わいでした。
アウッ特有の香りとやわらかさがそのままスープに溶け込み、
素直に美味しさが感じられました。
味噌の風味はほんのりと控えめで、出汁とアウッ本来の味がうまく調和しており、
くどさがなく、深みのある味を気軽に楽しめる一杯でした。
アウッは夏から秋にかけて収穫される新鮮なものが特に美味しく、群山近郊の
湖南平野で育ったものが主に使われているそうです。
かつては、春から秋にかけて田んぼ仕事を終えた後、汗を流した体を癒す栄養たっぷりの
滋養食として親しまれていたとも言われています。
イルチュルオク(일출옥)
住所:群山市グヨン6キル22-3(군산市 구영6길 22-3)
群山市グヨン6キル22-3、ウォルミョンドンの路地裏にある小さな食堂「イルチュルオク」は、
ホ・ヨンマンの『ペッパン紀行』でも紹介されたお店です。
メニューはたったの2つ。アウッ(アマナ)スープとコンナムルクッパ(豆もやしクッパ)。
選択肢はシンプルですが、その中には群山の季節と健康的な食卓が詰まっています。
最初はちょっと馴染みのない素材、アウッ。でもひとくちスープをすくって味わえば、
そのやさしく爽やかな風味にすぐ心がほぐれていきます。
身体も心も軽くなるような食事で、健康志向やダイエットを考える人にもぴったりの
一品だと思いました。
しかも価格は7,000ウォン。このコスパで味わえる解酒スープは、
なかなか見つからないかもしれません。
群山は港町であり、工業都市でもありました。
ここでせっせと働き、生活する人々のリズムやスピードに合った料理こそが、
コンナムルクッパです。
特に「トリョム」方式で熱々に温められたクッパは、
短い時間で食べても心まで温かくなる一品です。
自家製で煮出したイワシの煮干し、干し椎茸、昆布などを使い、
旨味がありながらもすっきりとしたスープを作っています。
熱いスープをご飯と豆もやしに何度もかける「トリョム(湯通し)」方式が、
この店の特徴です。
このトリョム式の調理法によって、豆もやしのシャキシャキとした食感が保たれ、
スープの温度はぬるめですが、食べやすい温かさが続きます。
イルフンオク(일흥옥)
住所:群山市グヨン7キル25(군산시 구영 7길 25)
群山市グヨン7キル25、ウォルミョンドンにあるイルフンオク。
1975年に開店し、現在では「100年続く店」としても認められている、
群山ウォルミョンドンの味の街の元祖クッパ店です。
ここのコンナムルクッパは、ただの二日酔いのための料理ではありません。
群山の労働や日常、そして人々の心情が詰まった温かい一杯と言えるでしょう。
朝5時から午後3時まで営業するこの店は、体にやさしい朝食を求める人
々でにぎわっています。
参考までに、毎週水曜日は営業していません。
豆もやしも、出汁も、ご飯もおかわり自由という心のこもった小さな食卓が待っています。
前日の疲れが残っている朝や、胃が空っぽの朝に、静かに腰を下ろして一口すくい、
あっさりとした味わいで一日を始めてみてはいかがでしょうか。
これらの料理は、いわゆる「珍しい食べ物」というよりも、
群山という地域が長い年月をかけて築いてきた暮らしの中から生まれた、本物の味です。
観光地として紹介されなくても、群山の日常や根っこ、
そして人々の時間が詰まった味だと言えるでしょう。
本当の群山を旅したいなら、まずこの三つの料理をぜひ味わってみてください。
目に見えるものよりも深く、口に残る味わいよりもずっと長く心に残る旅になるはずです。
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